映画「ここに泉あり」って、みなさん知っていますか?
小林桂樹と岸恵子が出演している昔の白黒の映画で、群馬交響楽団(以下 群響)の草創期が描かれています。群馬の地へ、音楽文化を普及するという高い理想を抱いた人たちの喜びや悲しみが、とてもよく描かれています。
さてその群響は1945年、第二次世界大戦により国土が荒廃し人々が暗く沈んだ時代、そんな時代を音楽文化を通した復興を目指して設立されました。
そしてそれ以来、市民、県民のみなさんにオーケストラの素晴らしさを伝え、将来を担う子ども達が素敵な、優しい大人になるようにとの願いをこめ、そして多くの人々に音楽を楽しんでもらうことを目的として活動してきました。
だからみなさんの学校にも移動音楽教室に来たんですね。
しかし、その思いとは裏腹に、交響楽団を支える経営基盤を群馬に築くことはとても難しく、群響は深刻な経営難に陥ってしまいます。
一番の理由は人々にとってオーケストラはなじみがなく、遠い存在であったことでした。
このままでは群響がなくなってしまう。
そうなれば高崎のそして群馬の大切な文化である音楽がなくなってしまう。そんな危機感のなかで、高崎青年会議所と群響が試行錯誤のうえ考え、始めたのが「森とオーケストラ」なのです。
オーケストラは聴いてみると面白い。でもその面白さを伝えるにはまずみんなにオーケストラを聴いてもらわなければはじまらない。
では、どうしたらみんなにオーケストラを聴いてもらえるのか。
そこで生れたのが森とオーケストラのスタイル。大きな公園の芝生のうえで、お弁当をひろげ、新緑の爽やかな風を受けながら、家族や友達と肩を寄せ合いオーケストラを聴いてもらうスタイルです。
オーケストラを身近に感じ、気軽にそして多くの人に聴いてもらいたいとの願いから、考えらました。
それが1978年のことです。その年第1回森とオーケストラが開催されました。
今では群響の経営も良くなり、1994年にヨーロッパ4カ国をめぐる海外公演を実現したり、2004年には天皇皇后両陛下、デンマーク国女王陛下同王配殿下をお迎えして移動音楽教室を開催するなど、その活躍には目覚ましいものがあります。
このように日本そして世界で活躍するようになった群響ですが、開始当時と気持ちは変わらず、毎年森とオーケストラに出演してくれます。
少し話が長くなってしまいました。
でもみなさん、森とオーケストラのこと、だいたいわかってもらえましたか?
それでも百聞は一見にしかずといいます。もともとオーケストラが好きな人はもちろん、オーケストラは敷居が高すぎてちょっと・・という人も、4月29日ぜひ群馬の森にオーケストラを聴きにきてください。
新緑の爽やかな風のなか、音楽のある休日がみなさんをお待ちしています。